確か「日本人には持ち前の持久力がある」みたいなことが定説のように言われていたんじゃないかと思いますが、反面「日本人は熱しやすくて冷めやすい」とも言われていますよね。友人知人を見回しても「三日坊主」のように見える人の方が多いと思えるのは、類は友を呼んでいるのでしょうか? それとも偶然? 気のせいでしょうか…?
この相反する説はどちらが正しいかということではなくて、物事に対してどのようなタイプの人が多く見受けられるのか? という場合には往々にして必ず当てはまるものだと思います。
ただ…。現在の諸々の社会状況や多くの人の声を見るにつけて、どうも今現在はやはり後者の方が多いって感じがしますね。(- -;)
精神論はさておいて、実際の身体の方に視点を向けると、欧米、中東、アジア大陸各国などボデイビルが盛んな国の選手と日本のボデイビルの選手がトレーニングで扱っているバーベルやダンベルの重さや、マシンの負荷はほとんど変わりがないそうです。
よく言われる「ドーピング」の問題を加味しても、ホルモンバランスをいじって、重い物さえ持ち上げられれば大きな太い筋肉になるというわけでは無いらしいんです。
以前からよく引き合いに出しますが、例えば昔、小柄な農家のおばちゃんが60キロくらいの米俵をひょいと持ち上げてすいすい倉庫に納めていくといったことと無関係ではないでしょうね。
筋肉の繊維には短時間に早く大きな力を出す「瞬発筋」と一定時間継続的に力を出し続ける「持久筋」という筋繊維があって、その見た目の色から
「瞬発筋」が「白質筋」、「持久筋」が「赤質筋」と呼ばれます。ここで一定の年齢より上の方は
「おや?」と思ったかも知れませんね。そう、以前は「瞬発筋」が「赤質筋」、「持久筋」が「白質筋」だと考えられていて実際にそう教えられていました。が、その後の研究の結果、それは逆だったことが判明したんですね。
これは赤身魚のマグロやカツオなどは世界中の海を泳ぎ回る回遊魚ですが、白身魚の鯛やヒラメなどは一定の地域に生息し天敵から瞬時に猛スピードで逃げることが主な運動であることからもうなずけます。
「日本人には持ち前の持久力がある」というあの説は第二次世界大戦前後の日本人の筋肉には赤質筋より白質筋が多い傾向にあったらしいことから、以前の間違った筋繊維の性質に対する認識に希望的な観測が相まって流布してしまったものらしいんですね。もちろん、この筋繊維の比率は個人差があって国や民族単位で一概に言えるものではないことは常識です。
が、それにも関わらず、やはり日本で国民的なメジャーなスポーツと言えば「野球」です。これは、試合時間中フィールド内を走り回るサッカーと比べるとわかりやすいですが、これほど瞬発力に偏ったスポーツはなかなかありませんね。
さらに、オリンピックでメダルが取れないと決まって、民族的な体格の違いとか、身体能力の差、云々が以前からよく言われますが、
骨格を比較すると、アフリカ系の人種と日本人の骨格に運動学的な差はほとんど無いという研究結果があるようです。
そうして考えると運動能力や筋肉の大きさの差は主に持久筋の量や筋繊維の太さではないかということになりますが、ひょっとすると日本人はこの持久筋の少なさ細さを精神性や技巧によって補って来た。「根気」とか「根性」「がんばり」など精神力を重視して、さらに「コツをつかむ」ことで技術面でも補いながら、切り抜けて来たという「長年の癖」が身に付いているのかもしれませんね。
さてさて、競技スポーツやプロスポーツについてはそれぞれの専門家の皆様に期待しつつ、現在の日本の医療技術をもってすれば、よほどのことがないかぎり特にスポーツも筋トレもせず長くは生きて行けそうですが、晩年、寝たきりや車いすに座るようになってからリハビリに筋トレをやらされるのと、元気なうちから継続して筋トレしておくのとでは、やはりかなりの差が出るものと思われますね。
そういえば現在、白身魚で日本の魚の代名詞かつ代表の「鯛」はお正月とかお祝い事とかよっぽどの機会が無いかぎり、食べたくて仕方ない魚とは言いがたくなってしまい、乱獲が懸念されるほど人気で今や国民的な魚の「マグロ」は高タンパクの赤身魚。ひょっとして日本人の多くは自分に足りない「持久筋」を食べることで無意識に補おうとしてるんじゃなかろうか? と疑りたくなります。w
娯楽的なスポーツ、実戦的な格闘技など様々ありますね。年を取ってから死ぬまで続けるには日本の伝統的な武道なんかも良いかもしれませんが、もっと手軽にいつでもどこでもできなければ継続は難しいですよね。
地球の重力とは死ぬまで付き合うもの。重力に負けない身体を死ぬまで保つために、未経験でも、いくつになっても実践、継続できる最適な運動は今のところ「筋トレ」しか無いそうです。
■動画:ベトナム系アメリカ人のボディビルダー、ピーター・リーさん■